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VISIBLE MATH|AM–GM

相加平均と相乗平均の関係

半円に内接する直角三角形と斜辺への高さを使い、半径 $R$ と高さ $h$ を比べながら、相加平均が相乗平均以上になる理由を確かめます。

目標の不等式
$\dfrac{a+b}{2}\ge \sqrt{ab}$
等号は $a=b$ のとき、かつそのときに限る

半円の図形

ABCDObahR$a+b$$R=\dfrac{a+b}{2}$
スライダーで $a,b$ を変え、$h=\sqrt{ab}$ が半径 $R=\dfrac{a+b}{2}$ を超えないことを確認しましょう。

図形の設定

  • $AD=b$、$DB=a$
  • $AB=a+b$
  • $R=\dfrac{a+b}{2}$

重要な性質

  • 半円に対する円周角は直角
  • 斜辺への高さは $h^2=ab$ を満たす
  • 2つの小さい三角形の相似から導ける
  • したがって $h=\sqrt{ab}$

不等式

  • 垂線が最短なので $h\le R$
  • $\sqrt{ab}\le \dfrac{a+b}{2}$

等号成立

  • $h=R$ のとき
  • 点 C が半円の最高点にある
  • したがって $a=b$

いつ相加平均・相乗平均の関係を使う?

まず公式を暗記して当てはめるのではなく、問題に「和と積の間で最大・最小を求める」構造があるかを見ます。そこから相加平均・相乗平均が使えるかを確認します。

1

まず正の数か確認

標準的な AM–GM を直接使うには、2つ(またはすべて)の量が正の数である必要があります。

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何が一定かを見る

問題から和が一定、または積が一定と分かる、あるいはその形に整理できるなら重要なサインです。

3

何の最大・最小かを見る

積が一定 → 和には最小値
和が一定 → 積には最大値

4

等号条件を探す

極値は通常、2項が等しい A=B のときに現れます。多項ならすべて等しいときです。

基本型 A+B → AB

$A+B=S$ が一定$AB$ の最大値
$A=B$ のとき

つまり「和から積」:和が分かっていて、積の最大値を求める形です。

基本型 AB → A+B

$AB=P$ が一定$A+B$ の最小値
$A=B$ のとき

つまり「積から和」:積が分かっていて、和の最小値を求める形です。

使用条件:標準的な相加平均・相乗平均の不等式では、比較する各項が正である必要があります。0 や負の値を取りうる場合、または定義域から正であることが保証されない場合は、「和と積に見える」というだけで直接使うことはできません。

発展:係数で形が見えにくいときは?

元の式を無理に公式の形に見ようとせず、2つの正の項を新しい $A,B$ と置き直します。そして $A+B$ または $AB$ が一定になるかを確認します。固定積が完全平方になると計算はきれいになりますが、それは AM–GM を使うための必要条件ではありません。

① 2つの正の項に分けるどの2つを $A$、$B$ と見るか決めます。
② 新しい文字で置く$A=$ 第1項、$B=$ 第2項と置きます。
③ A+B または AB を確認どちらかが定数になれば、固定和・固定積の基本型に戻せます。
④ 等号条件を使う構造が見えたら $A=B$ から極値を求め、元の変数に戻します。
$x>0$ のとき $3x+\dfrac{12}{x}$ の最小値を求める。
$A=3x,\quad B=\dfrac{12}{x}$ とおく
すると $AB=3x\cdot\dfrac{12}{x}=36=6^2$ で、積が一定です。
したがって $A+B\ge2\sqrt{AB}=12$。等号は $A=B$ のとき成立します。
$3x=\dfrac{12}{x}$ より $x=2$。
類題$A,B>0$、$2A+3B=36$ のとき、$AB$ の最大値を求める。
$x=2A,\quad y=3B$ とおく
すると $x+y=36$ となり、「和が一定 → 積が最大」の基本型に戻ります。
AM–GM より $xy\le\left(\dfrac{x+y}{2}\right)^2=18^2=324$。
$xy=(2A)(3B)=6AB$ なので、$6AB\le324$、よって $AB\le54$。
等号は $x=y$、すなわち $2A=3B=18$ のとき。したがって $A=9,\ B=6$、$AB=54$。
類題$X,Y>0$、$XY=25$ のとき、$2X+3Y$ の最小値を求める。
$A=2X,\quad B=3Y$ とおく
すると $AB=(2X)(3Y)=6XY=150$ となり、「積が一定 → 和が最小」の基本型に戻ります。
AM–GM より $A+B\ge2\sqrt{AB}=2\sqrt{150}=10\sqrt6$。
したがって $2X+3Y\ge10\sqrt6$。
等号は $A=B$、つまり $2X=3Y$ のとき。これと $XY=25$ から $X=\dfrac{5\sqrt6}{2},\ Y=\dfrac{5\sqrt6}{3}$。
よって $2X+3Y$ の最小値は $\boxed{10\sqrt6}$。
見分け方のポイント:固定積を完全平方にできることは AM–GM の成立条件ではなく、計算を簡単にするテクニックです。完全平方でなくても同じ方法が使え、答えに根号が残るだけです。

代数でも確認:和が一定のとき、積はいつ最大?

同じ内容を代数で見てみます。A+B が一定のとき、AB はいつ最大になるでしょうか。平方完成をすると、最大値が A=B のときに現れることが分かります。

平方完成による証明

A=xB=S-x とおく。ただし S=A+B
AB = x(S-x)
AB = -x² + Sx
AB = -(x - S/2)² + S²/4
-(x - S/2)² ≤ 0 より、AB ≤ S²/4

現在の値を代入

ABx=A
S が一定なら、放物線の頂点は x=S/2、つまり A=B の位置にあります。同じ A+B に対して AB の最大値は (A+B)²/4 なので、√AB ≤ (A+B)/2 が得られます。

さらに先へ:3個以上の正の数

半円は2個の正の数を直接表しますが、相加平均と相乗平均の関係は3個以上の変数にも成り立ちます。高次元では図にしにくくなっても、不等式そのものは変わりません。

3個の正の数

$\dfrac{a+b+c}{3}\ge \sqrt[3]{abc}$

等号は $a=b=c$ のとき、かつそのときに限ります。

$n$ 個の正の数

$\dfrac{x_1+x_2+\cdots+x_n}{n}\ge \sqrt[n]{x_1x_2\cdots x_n}$

等号は $x_1=x_2=\cdots=x_n$ のとき、かつそのときに限ります。

和が一定のときの最大値

和が一定 $\Longrightarrow$ すべて等しいとき積が最大

2個なら $a=b$、3個なら $a=b=c$。個数が増えても同じです。

ポイント:半円モデルで2変数の場合を目で理解し、その直感を一般の相加平均・相乗平均の関係へ広げます。